ニット製品の素材へのこだわり
ニット製品の素材というと、「糸」です。
糸というと身近にありすぎて、あまりというかほとんど意識したことがないかもしれませんが、その種類たるや数多く、また、新しい糸も日々開発されています。
今日はそんな糸についてご紹介してみます。
糸ってそもそも?
さて、糸とはそもそも、複数の繊維を引き揃え、撚り合せたもの。と定義されています。
それが天然繊維であれ、化学繊維であれ、定義はかわりません。
繊維だけでは糸としての強度は足りないただの紐なので、それらを撚り合わせてより強度を増す必要があるのです。
糸の素材は大きくわけると、動物や植物由来の天然繊維と、人工的に生成された素材である化学繊維にわかれます。
代表的な繊維名
天然繊維
動物繊維
・羊毛(ウール)
・絹(シルク)
・アンゴラ山羊(モヘヤ)
・カシミヤ山羊(カシミヤ)
・ラクダ(キャメル)
・アルパカ(アルパカ)
・アンゴラウサギ(アンゴラ)
・ビクーニャ(ビキューナ)
植物繊維
・綿(コットン)
・麻(リネン/ラミー)
・コウマ
・紙(パルプ)
化学繊維
合成繊維
・ナイロン
・ポリエステル
・アクリル
・ビニロン
・ポリオレフィン
・ポリウレタン
再生繊維
・レーヨン
・ポリノジック
・キュプラ
・リヨセル
・アセテート
などなど
特性や特徴はさまざま
上記したように、糸の素材は様々です。
これら以外にも多数存在しますし、その特性や特徴はそれぞれ異なり、つくりたい製品に最適な素材を選定するプロセスもまた、大変難しい工程です。
保温性・保湿性・伸縮性・撥水性・吸湿性・・・などなど仕上がり製品にどんな特性をもたせたいかによって選ぶ素材も変わってきます。そしてただ特徴を持つ素材を選ぶだけで終わりではなく、素材の種類に加え、糸番手という糸の細さも細いものから太いものまで数段階に分かれるので、仕上がり製品のデザインや織り機との相性などなどその後の工程まで考えて素材を選定する必要があるのです。
したがって、その組み合わせ数は気の遠くなるほど多岐にわたります。
CHOOSE KNITが素材に対して大切にしていること
ではその多岐に渡る選択肢の中から、どのようにして素材選定をするのか。
チューズニットでは企画と生産を行うスタッフ全員で素材選定から一緒に考えています。
その際の基準はいくつかありますが主だったところだと
・風合い(手触り・肌触りなど)
・見た目(落ち感・光沢感・柄の再現性・発色性など)
・重さ
・適性(季節感)
といった各要素に対し、それぞれの素材の特徴と特性を素材感を熟知した生産側のスタッフと共に、
サンプル製作を繰り返しながらより適した素材を選定していきます。
糸の段階ではわからなかったことも、サンプルとして製作してみることで新たな発見がありますし調整する必要も出てきます。
さらにこれは見た目とは関係のないところですが、糸の価格も大変重要な要素です。
糸の価格が高ければ高いほど、仕上がり製品の価格もあがることになるので、サンプル製作の段階では価格感も加味して考えながら最高のバランスを探っていきます。
幾度かのそういった選定の工程を経て、やっとCHOOSE KNITで使用する”糸”が決まるのです。
我々の強み
これまでの素材選定の工程は、時間も手間もかかるものですが、我々の強みはやはりニット工場発のファクトリーブランドだということ。
職人とデザイナーが一緒になってものづくりをすることで、各工程が最短の時間と手間で行う事ができますし、より密度の高いコミュニケーションをとることができます。
ちょっとしたところの積み重ねに対して、意見を交わらせることができるのは大きな強みですし、1つの製品に対してトライアンドエラーを最短でまわし、よりこだわってものづくりができるというのは非常に大きなメリットだと思っています。
さらに、売ることに1番のプライオリティを置いたものづくりでは扱えないような希少な素材も扱えるのは、ファクトリーブランドならではの強みだと思っています。
昨年秋冬製品で使用したラムウールも、この春夏製品で使用しているエジプト綿も、一般的に同価格帯の製品で扱われている素材より数段質の高いものを使用しています。
それは我々が小さなチームだからできることですし、ブランドコンセプトでも申しておりますが、お客様には我々の製品をつかっていただくときに”ちょっといい気分”になってもらいたいという想いから。
ここまで糸について我々の考え方を織り交ぜながら書いてきましたが、まだまだ語り尽くせない奥深いテーマ「素材」。
ニット製品にとって糸は無くてはならない存在ですが、その1つを選ぶ工程もまた非常に重要で尽きる事の無い課題でもあります。
こうしてみなさまにチューズニットのものづくりの裏側を知ってもらいつつ、今後も日々勉強して参ります。